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2022年12月18日

      「2022年後半期の歩み」と「代表辞任の挨拶」

 12月も半ばを過ぎ、今年一年の歩みを振り返ると、最後の著作として『ペトロ』と『真理の霊が来るとき』の二冊を出版した前半期と較べ、7月以後の後半期には著作活動はできず、集会活動に専心することになりました。第二日曜日にオンラインで進めてきました福音集会は、予定どおりに著作『福音の史的展開T』の最後、「第四章 パウロの異邦人伝道」まで講じて、無事終了することができました。

 しかし、この期間の11月末の誕生日に92歳になった市川は、心身の衰えも目立ち、集会をお預かりする重責に耐えられないとの思いを強くし、集会の責任者の立場を辞する決意を固めました。その決意をお伝えしたところ、松田兄を初め集会員各位も私の年齢から来る状況を理解してくださり、2023年の新年度から新しい態勢で「京都福音集会」を進めるために、新年最初の集会となる1月8日の集会で、そのことを議することにしてくださいました。わたしも集会の一員として、この集会の歩みを見守らせていただきますが、このキリストの民の小さな群れが、市川が掲げてきました福音の証の灯火を受け継ぎ、それをますます強くしていってくださることを切に願っています。

 この年度末で集会の重責を去るに際して、わたしが作成して公開しています「天旅ホームページ」を改装して公開し、それが新しい歩みを始める群れの一つの道しるべになることを願っています。その改装された新しい「天旅ホームページ」が、新しい歩みを始める群れの道しるべとなると同時に、いつまでもキリストの福音という真理に背を向けているこの日本の民にとって警鐘となり、この国の民を目覚めさせる機縁となることを祈っています。この「天旅ホームページ」はこの国に対するわたしの遺書でもあります。

 ここに京都福音集会の代表を辞するにあたって、直接お会いして語り合うことができない状況で、このホームページ上で所感の一端を述べて挨拶に代えます。

                               市川喜一



2022年6月22日

      2022年前半期の歩み

 今年も6月の末には前半を終えることになります。この半年の集会の歩みを顧みますと、新年を迎えるに際して覚悟した通り、コロナ禍の中での厳しい状況の中での歩みとなりました。この半年の間、新規感染者の数は減少を続け、少し胸を撫で下ろす面もありましたが、決して感染が収束したわけではないので、外出や多数の集まりは避け、注意深く生活していかなければならない状況は続いています。集会も建前は実際の集会とオンラインでの集会の二本立てで案内してきましたが、実際は集会所に来会する方はなく、すべてオンラインでの集会となりました。そのオンライン集会は、当初接続が中断するなど混乱しましたが、最近は安定して集会を続けることができるようになり、ニュージーランドからの参加者も含め集会を続けています。オンラインでの集会には、祈りを共にすることができないというような致命的な制約がありますが、一面では地理的制約を超えて福音の証言を伝えることに活用できるのではという希望も持てるようになってきました。

 主筆の著作活動では、この6月に二冊の著作を出版することになりました。一つは『ペトロ ー弟子から使徒へ』で、十二弟子を代表するペトロについての書です。イエスに続いて最初に書くべき書が最後になった理由は、その書の「まえがき」と「あとがき」を見ていただくことにして、ここでは最近信仰の交わりを頂いている宮本久雄先生から頂いた書評の一部を紹介させていただきます。「(前略)…『空白の五十日』に着目され、復活のイエスとペトロたち弟子たちの出会いがそこで生起し、それが聖霊降臨をすでに予示していることなど、大いに学ばせていただております。刮目に値する著書です」という一文は、本書の核心をついています。この小さな著作がキリスト教界にペトロ理解、ひいては福音理解に波紋を起こすことを願っています。

 もう一つは、『真理の霊が来るとき』という題名の150頁ほどの小著です。副題に「復活者キリストを証言する新約聖書」という解説的な題が付されており、長い書名になっています。これまでの著作がすべて市川が運営する天旅出版社から刊行されているのに対して、この書だけは「日本キリスト教団出版局」からの出版で、東京大学名誉教授の宮本久雄先生の推薦と「真理の霊が来るときー出会いのカイロス」と題する一文を寄せて頂いています。表紙を飾るのはヴェネツィアの聖マルコ大聖堂のモザイク画だそうで、その説明も巻頭の宮本先生寄稿の文にあります。この書は市川が生涯語り続けてきたキリスト信仰の証言を十の章にまとめたもので、市川の新約聖書探求の最後の要約です。お手元に置いて愛読いただければ幸いです(この書だけは、出版社との契約で内容の全文をホームページに出すことはできません。一般の書店でお求めいただくか、郵便振替で天旅出版社に申込んでください)。

 上記2冊の著作の出版で、「市川喜一著作集」も30巻を数えることになりました。主がこのささやかな著作集を用いて、この国にキリストの福音を確立してくださることを祈ります。毎月第二日曜日に開いています福音集会は、これまで通りです。前半は市川の『福音の史的展開』を講じる「福音講話」ですが、後半には信仰経験の豊かな兄姉の「奨励」をいただく予定です。参加者も各員が信仰生活の体験や祈りを伝える「感話」も自由です。講話も奨励も感話も一体となって、神の恩恵と信実を讃える集会となることを願います。

                               市川喜一



2022年1月1日

      2022年の新春を迎えるにあたって

 一昨年の2020年には新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大、日本も4月には緊急事態宣言が発令されて、感染防止のために外出制限や店舗の営業自粛、催し物の中止など、人と人との交流と接触が大きく制限され、社会の様相が一変しました。昨年2021年にもパンデミックの嵐はさらに拡大、多くの死者を出す国も出ました。その中で日本は、厳しい外国人の入国禁止や、国内の3回にわたる緊急事態宣言により、感染対策がかなり徹底された結果、死者数は例外的に少ないようですが、それでも多くの入院患者や在宅治療を余儀なくされた人が出ました。

 新しい年2022年はどうなるのか、予断は許されません。変異したオミクロン株の流行が心配されます。これからの社会は、コロナの脅威と戦いながらの日常を覚悟しなければならない「ウイズ・コロナ(コロナと共に)」の時代になるのでしょう。わたしたちキリスト信仰に生きる者も、そのような時代に生きる者としての覚悟と備えをしなければなりません。わたしたちには「キリストにあって祈る」という特権が与えられています。キリストにあって、わたしたちは神の子です。子として切に父に求めるものを、父は与えないことがあろうか、とイエスは教えられました。

 もう一つの特権は、キリスト者の間の交わりです。その交わりには様々な姿があります。直接対面しての交わりが一番望ましい形ですが、それが困難な現在の状況では、交わりを可能にする方法を探らなければなりません。私は長年、集会の中で福音を語り、キリストにある方々との交わりを享受して来ました。しかし「ウイズ・コロナ」の状況では、対面の交わりは困難となり、それ以外の可能な形も探らなければなりません。その方法の一つとして、インターネット時代の利器としての「オンライン会議室」を利用し、オンラインでの集会という形で信仰の交わりと福音の告知の活動を進めたいと願っています。

 今まで通り集会所も開いています。感染対策として定員を7名と制限していますので、集会参加希望者は前日までに電話でご相談ください。オンラインでの参加には制限はありません。参加の仕方は「福音集会」のページをご覧ください。集会への参加は、昨年と同様、直接集会への参加とオンライン参加の二本立てです。今年度の福音集会は、市川の著作集から「福音の史的展開T」をテキストにして、その内容を講じる予定です。参加希望者は同書を手元に置いて受講されることをお勧めします。

 コロナ禍の厳しい状況が続きますが、この国での福音の進展を切に祈り、今年も「キリスト福音会」は活動を進めてまいります。誌友諸氏の参加と祈りを御願いします。

                               市川喜一
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